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2007/2/18 VOL 17 気になる隣人 |
パチンコ・パチスロ店という場所では沢山の人が集まる所である。サラリーマンやら学生、家事の合い間に訪れる主婦や水商売のオネエちゃんなど、職種も様々な人たちが集まる場所だ。そんな中で見ず知らずの人たちと肩を並べて打つも、特に隣の人を気にすることも無く淡々としており、それがパーラーというものである。 普段オレはスロットを打つときなんかは基本的に隣の人の事は気にしていない。気にしてないというか、気にしないようにしているといったほうがいいのかもしれない。まぁ、さすがに隣の人がチラチラと台を覗いたり、台を小突いたりすると気にはなるが、静かに打っている分にはどんな人が隣にいようと別に構わない人間である。 しかしな、隣人に関して欲を言えば一つだけ、小さな事だけど、贅沢を許されるなら一つだけ言いたい事がある。それは、 （どうせならキレイな女性が隣に座って欲しい）、と・・・・・。 何故か分からないが、隣が空いていると必ずといっていいほどオッサンやジイさん、チンピラなど胡散臭い殿方が座る確立が異常に高いのだ。たまに女性が座ったと思ったら、人生と色気を捨て去ってしまったようなババアが座るのが関の山。美人なんて絶対に来ない。 店には沢山のキレイなお嬢ちゃん達がいるのは分かっているのだ。ミニスカート姿のオネ−ちゃん、大学生風のオネ−ちゃん、欲求不満の団地妻を感じさせる若奥様と、多種多様なエロい女性が揃っている。それなのにオレの隣にはただの一度も座らない・・・。 別に隣に美女が座ったってどうってことはない。出玉状況が変わるわけでもないし、また、その美女がオレの恋人になるわけでもないし、いきなり股間に手を入れてくるわけでもないし・・・。ただ、ちょっと良い香りを楽しめるだけだ。隣に美女が座る・・・・・、別にどってことはない・・・・・。 しかし、やっぱりなんというか、華があればスロットを打つにしても気合が入るし、目押しなんかにも力が入るし、コインを拾うフリをして生足を見たりして、なんか隣に居てくれるだけで良いのだよ、みたいな、そういう感覚って何処かあるだろ？ この前も新台として入ってきた5号機「空手バカ一代」という台を打っていた時だ。オレは角台が好きなので、シマ一番奥の角台に陣取り、右隣は空席という状況下で遊戯していたのだが、オレの背中をキレイな女性が通るたびに、「あっ、ココ空いてますよ！」とか、「隣、座ればいいのに・・・」と、密かに１人念じていた。 新台導入後間もない「空手バカ一代」は興味も手伝ってどんどんと座席が埋まっていく。しかしオレの隣に誰も座らない。普段は隣人の事なんて気にしないのだが、どうせ座るなら美人で・・・、と思うようになり、胸が高鳴るってものだ。次、このシマをウロつく人が間違いなく隣に座る。他に空席はない、間違いなく誰かが座る。一体どんな人が・・・・・。 後のシマにある「俺の空」。お世辞にも客が付いているとは言えない状況の中で、１人の女性が席を離れるのをチラッと確認した。水商売系の仕事をしているのか派手な服装に身を包み、「俺の空」に見切りをつけドル箱に半分ほどのコインを持って、移動を決意した模様である。 （きた！オレの隣だ！美女かどうか知らないけど、間違いなく女性。やった！） 隣に座るかどうかも分からないうちにそう決め付けてしまった。空想とは恐ろしい、時に人の理性を失わせてしまう。この時のオレは喜びのあまり小躍りしそうな勢いであった。 しかし、そのオネ−様、「空手バカ一代」という男臭い台には全く興味が無い様で当たり前のようにシマをスルー。なんか、腰をプリプリ振って何処かへ消えていった。・・・・・あぁ、またスルーされたか。 ガックリとうつむきながら打っていると、不意に後に人の気配を感じたと思ったら、隣の空き台へと手を伸ばしデータをポチポチやる人影が・・・・・。 （きたっ！今度こそ隣に座る人だ。一体どんなヤツが・・・・・、ミニスカートのお嬢さんでお願いします！） そんな興奮を隠しつつ、うつむきながらドキドキするオレに、あろうことか、パチスロの神は大変残酷な試練を与えてきました。 ヒゲボーボーの外国人！！ あのなぁ、まだハゲたオッサンや爺さんなら我慢するわ。ああ、こういう時はやはりこんなモンだ、と諦めがつく。いや、むしろ余計な気を使わない分、楽かもしれない。それがよりによって座った人物が外国人！ヒゲ面のソイツは見るからに外国人。どう見ても外国人。脂肪なのか筋肉なのかよく分からないモコモコとした体つきをしており、相撲取りのような外国人なのだ。 異常に体がでかく、汚らしく伸びたカビのようなヒゲ、もう目なんか鮮魚のようにギラギラとしたその男はタイガージェットシンみたいな顔をしており、今にもサーベルで斬りつけてきそうな人だった。 で、そいつが何の迷いもなく隣にドカッ！と座ったんだけど、外国人って改めて近くで見ると異常に怖いのだ。麻薬常習犯みたいで、拳銃とか持ってそうで。それだけでもメチャクチャ嫌なんだけど、問題はソイツが打ち始めてから。 オレが平静を装いペシペシと右手でストップボタンを押していると、隣のソイツが左手でレバーをガツーンと叩き、勢い余ってソイツの肘がオレの右手に時々当るのである。 まぁ、最初は、それほど気にもしなかった。もともと狭い空間でもあるし、彼も体はデカイので肘が当る事ぐらいあるだろな、と思ってた。が、５回、６回とそれが続き、更に連続肘打ち攻撃なんかを喰らうとさすがに、「コノヤロウ！」と首を締め付けてやりたい衝動に駆られるのだが、それをやると100%の確率で返り討ちにあうのでグッと我慢していた。 しかもその外国人、異常に鼻息が荒く、ンスーーーーッ、ンスーーーーーッと、この世のものとは思えないような呼吸をしやがる。ガシッとレバーを叩き、荒々しい鼻息のメロディーとともにバシバシとボタンを押す作業はこの上ない不愉快さを感じていたわけだが、次第にその鼻息がまるでスロットから蒸気が出てるみたいに聞こえ始めてきまして、それが可笑しくって仕方がなくなってきた。 （ククククククククッ） （ングッ！、クククククククククッ） 笑いたい衝動を抑え、一人肩を揺らして笑っていると、隣のソイツがオレの異変に気がつき、カッと見開いた目でジッとオレのほうを見つめているのである。怖いよオメー。 数分後、怯えるようにして席を立つ外国人。きっと彼は、１人ニヤニヤしてる気持ち悪い日本人が隣にいるので恐ろしくなって移動したのだろう。オレも怖い思いをしている最中、彼もまた別の恐怖を味わっていたんだと思う。なんかオレの事を犬の糞でも見るような目つきで睨みつけていた。 つーか、言いにくいんだけど、どっちかというとキミのほうが割とヘビーだと思ったけどな。まぁ、今後はお互い気をつけなきゃな、兄弟！ |
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