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2006/10/20 VOL 8 車上荒らしに遭う 前編 |
忘れもしない平成17年の6月、蒸し暑い日曜日の昼であった。 ムシムシする我が幽閉部屋、じっとしていても額に汗がにじみ、部屋全体には得体の知れない匂いが漂い始めたため気分転換にと清涼感溢れるホールへと行く事に決めた。 （今日は何を擦ろうか・・・・・、この前、吉宗でヒデェ目に遭ったからなぁ・・・・・。あっ、そういえば軍資金を下ろさなきゃ！） その日、軍資金が乏しかったオレは銀行のキャッシュカードを持参し、近所のATMで金を引き出した後、はやる気持ちがあったからか、持っていたキャッシュカードを何の気もなくバッグに入れ、車の助手席に置いたままホールへと入ってしまったのだ。そう、持っていくことも無く、どこかに隠す事も無く・・・・・。 夕方、一擦り終えたオレはウキウキ気分で車に戻った。 （この前の借りは利息を付けて返してもらったぜ！今夜は味噌カツでも食ってオナゴの乳でも揉みに行くか、ガハハハハッ！） とまあ、こんな気分で駐車場まで行き、車のドアを開けたのだ。 エンジンをかけ、財布をバッグに入れようとしたときの事である。 （あれっ？、ココに置いたバッグが無ぇぞ？、・・・はて？シートの下にでも落ちたのか？） シートの下や後部座席やら探したが見当たらない。記憶を辿ってもどうしても助手席に置いたはずのバッグの映像が浮かび上がってくる。しかし、それでも何処かにあるんじゃないか、自分の思い違いで何処かに隠したんじゃないか、挙句のはてに、（オレ、今日バック持ってきたか？）と、思うばかり。それでもどうしても見つからない。 そして、一つの事実を受け止めねばならなかった。 車上荒らし！ こう思った瞬間、全身がカーッと熱くなると同時にドーンと重くなったような気分になった。 （バック盗られとるやん！、うおー、警察に連絡せなあかんのか・・・、嫌やなー） 携帯電話で警察に連絡すると、すぐに中年のお巡りと若いお巡りが乗ったパトカーが一台やってきた。 「電話した人？」 「ハイ、オレですが・・・・・、あの〜、どうも車上荒らしに遭ったみたいで・・・・・。でも、車のガラスを割られてる訳じゃないし、ドアにもロックが掛かったままだったし・・・・・、おかしいんですよね・・・・・」 そう言うと中年のお巡りが私の車のドア付近を調べだしたかと思うと、 「にいちゃん、ドアの所が壊されとるやん、ココ。これは素人のやり方と違うわな。犯人が出てくるかどうか分からんぞ」 とか言うのである。オイオイいきなり迷宮入り宣言かよ、とも思ったのだが、今はただ警察の人に事の成り行きを委ねるだけで静かに佇むオレ。 その後、若いお巡りが、何を盗られたのかと聞いてきたので、改めて車内を確認するオレ。もともと車内には金は勿論、小銭すら置いていないし、数枚あるCDも無事残っていたので、盗られたのはバッグとその中身だと告げた。 「え〜と、そのバッグの中身は？」 （はて？中身とな？、何入れてたかなぁ・・・。サイフは持ってるし・・・。収支手帳と・・・、風俗の割引券くらいか・・・、あっ！運転免許証と銀行のキャッシュカード！） 「お巡りさん！免許証と銀行のカードが入ってました！今すぐ銀行へ使用できないように連絡して下さい！」 そういえば今日に限って銀行のキャッシュカードを入れたままだった。バッグは安物だし、手帳なんかも盗られて別に問題ない。割引券を無くすのは惜しいがまあ仕方が無いだろう。しかし、免許証とキャッシュカードは猛烈に不安だ。もう気が気でないため思わず若い警察官にそう叫んだ。ところが・・・・・、 「それはあなたが自分で連絡して下さい」 とか言うのである。 ええっー！そうなん！！、パトカーの無線とかで連絡すると、どこかの大きなコンピューターと繋がってて銀行とかにもすぐに連絡が行くようになってるんじゃないのか。随分と不親切だなぁ警察って。 銀行の電話番号など分からないので、ぶ然としながら再びパチ屋に入り、電話ボックスでタウンページを閲覧、銀行のナントカセンターという所へ電話をかけ、事の成り行きを説明した。そしてオレ名義の口座は全てストップをかけてもらったのである。 「とりあえず、これで引出しは出来ませんが、今日一日の預金記録を見ましょうか？」 電話向こうの銀行の人が淡々とした口調でそう言ってきた。そう、今からストップをかけてもそれ以前に引き出されていたら終わりだ。盗られた預金残高はスロ専用口座で莫大な金額は入ってなかったが、それでも確か40万円位入っていたはず。暗証番号も生年月日を組み合わせた番号だから、免許証から推測できてしまう。 （既に引き出されていたらどうしよう・・・、犯人がアホで暗証番号入力ミスを連発しててくれればいいが・・・・・。あぁ、神様、どうかお金が無事でありますように・・・・・。できたら犯人が交通事故か何かで死んでて下さい） 祈るような気持ちで銀行の人に記録を聞きいた。もう心臓が張り裂けるような気持ちだ。 「午前10時10分頃、5万円引出しがありますね」 （なっ、なにっ！5万円引き出し・・・？、あぁ、それはオレが引き出したものだ。スロのため入店前に引き出した軍資金だ。・・・ん？それだけ？それだけですか？・・・っていうことはまだ引き出されてない？。たっ、助かった？助かってるの！神様ありがとう！） 「あっ、それは僕が引き出したものです。・・・よかった、、それだけですかね？」 「いえ、11時02分に36万2千円の引出し記録がありますね。最終預金残高は131円ですが・・・・・」 ・・・・・・・ぐはっ！ |
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